『名探偵コナン』 高校生から小学生に縮んだ謎

 

『真実はいつも一つ!』

只今人気の推理もの漫画でありアニメ化もされているのが

「名探偵コナン」だ。

小学一年生の江戸川コナンが数々の難事件を解決していく

ありふれた物語の中に様々なアイディアが含まれている。

そのアイディアの中でも最も素晴らしいのは、

高校二年生・工藤新一が謎の組織に薬を飲まされ

小学一年生・江戸川コナンになってしまったというアイディアだろう。

高校生名探偵が小学生探偵に変身!

体は縮んでいるのに頭だけは名探偵のまま!

果たして本当なのか?今回の研究は

この誰もが不思議に思っているであろうこの疑問に迫ってみよう。

 

 

 

☆潰れるコナン君☆

 

まず高校二年生の工藤新一が、何故・どのようにして

小学一年の江戸川コナンになったのかを調べてみよう。

高校生名探偵である工藤新一は幼なじみの毛利蘭と

遊園地に遊びに行った時に偶然、裏取引の現場を目撃してしまう。

そして謎の組織の「黒ずくめの男」ジン&ウォッカに開発途中の毒薬を飲まされてしまう。

その毒薬の偶発的作用により、小学生の身体に縮んでしまったのだ!

その後、薬を開発した組織の元メンバー:灰原哀ことシェリーが

自ら薬の作用についてコナンに語っている。

それによると薬の名前は「APTX(アポトキシン)4869」。

毒物検出が出来ない薬であり、極稀に生物を幼児期まで戻してしまうことがある。

また幼児期まで戻る場合は神経細胞を除く全ての細胞が幼児期のそれになるという。

「神経細胞を除く〜」ということは神経細胞は元のまま、というワケだ。

成る程、だからコナン君は「身体は子供、頭脳は大人!」なのか。

待てよ…神経細胞は元のままなのであれば、体積も変わらないハズだ。

という事は…

縮みゆく体に神経細胞が圧縮されてしまわないだろうか?

その疑問が事実ならば、コナンは大変なことになる!

縮んでくる頭蓋骨に脳みそは圧壊!!!

手足の末端神経系は皮膚から盛り上がるようにしてその姿を現し、

恐らく背骨内部の脊髄などもはみ出して…

うわぁ気持ち悪い!!!

だが劇中ではそのようなおぞましい死体は出てこない。

どうやら「体が縮む」というのは少しニュアンスが違うようだ。

どうやら「縮む」ではなくて「子供に戻る」と考えた方がよいだろう。

それは灰原も言っている通り「幼児期の細胞になる」ということと関係があるようである。

 

 

 

☆ホラー漫画になる!☆

 

この幼児化のプロセスや原理については灰原本人が語っている。

「APTX(アポトキシン)4869」のアポとはアポトーシスのことであり、

神経細胞を除く全ての細胞にアポトーシスを強制的に誘導させて

相手を殺す毒薬だが、テロメアーゼ活性の作用もある薬らしい。

そして新一と志保はこの薬を飲んだが、奇跡的にも死亡せずに

幼児化してしまった、極めて稀な例なのだ。

アポトーシスとは細胞の遺伝子に予めプログラムされている自滅機構のことである。

様々な理由によって細胞は自らその命を絶つのだ。

詳しい解説は注釈欄に譲る。

成る程アポトーシスが原理であるならそれほど無理はないように思える。

しかし、ただアポトーシスが起こるだけでは問題がある。

アポトーシスは細胞が自滅していくだけで自滅しなかった細胞には

ほとんど影響はない。従って自滅しなかった細胞は元の通り、

青年の細胞のままである。

つまり、見た目は子供でも細胞は大人のままなのだ。

もし、そのままコナンが成長を続ければ大変なことなる。

細胞の分裂には一定の限界があり、その限界を超えると細胞は

分裂出来なくなるのだ。つまり、細胞には寿命があるのである。

よって、コナンが成長を続けた場合、早死にしてしまう可能性が高いのだ!

しかもコナンは2度ほど元の高校生の姿に戻ってはコナンに逆戻り、

という現象に見舞われている。

ということは…コナンの細胞年齢は30歳を超えている!

うあ〜!見た目は小学生なのに中身は中年だったとは!

元気に走り回れるのも今のうちか…。と思いきや、

この寿命の問題を解決しているのがテロメアーゼ活性である。

細胞の寿命はテロメアが関係している。

テロメアが一定まで小さくなれば、細胞はそれ以上分裂出来なくなるのだが、

テロメアーゼはそのテロメアを回復させる働きがあるという。

ふむ、これでコナンの老化は防げたワケだ。

ただ、テロメアには細胞の癌(がん)化を防ぐ役割がある。

癌(がん)とは細胞が無秩序に増殖する病気であり、

細胞に寿命があるのは癌細胞になるのを防ぐという目的もあるのだ。

つまりコナンは癌になる可能性が高くなる。

というよりも「APTX4869」が体を蝕(むしば)み、

「○○の細胞を××個作れ、△△の細胞を□□個だけ殺せ」

という非常に難しい指令が全身で行われている状態で、

新一の細胞はどこまで忠実に指令を実行出来るだろうか?

もしかすると、全身が癌で出来たコナンが誕生するかもしれない…。

ひぃ〜それじゃホラー漫画だ!

そうならない為には新一の細胞に頑張ってもらうか、

「APTX4869」に抗癌剤でも入れるしか…

って毒薬に薬(抗癌剤)を入れるのも変だな。

 

 

 

☆身体は子供、×××は大人!☆

 

さて、神経細胞に「APTX4869」は働かないことになっているが、

これはどういうことだろうか?

実は神経細胞などの一部の細胞は、受精から一定期間の間のみ分裂して

その後は分裂しないのである(このような細胞のことを非再生細胞という)。

つまり他の細胞とは作りが違うので「APTX4869」の効果を受けない可能性はある。

ただ、非再生細胞にもアポビオーシスというプログラム死がある。

一日に10万個もの脳細胞が死滅している、というのもこのアポビオーシスだが、

アポビオーシスも遺伝子のプログラムによって起こるものであり、

同じ遺伝子のプログラムであるアポトーシスを強制発動させる「APTX4869」が

神経細胞にだけ働かないのは多少の無理があると言えよう。

仮にまったく働かなかったとしても、それはそれで問題がある。

脳みそには脳下垂体と呼ばれる部分がある。

その脳下垂体視床下部は主にホルモンの分泌を司っている。

このホルモンは性的成長を促すものである。

これにより、色々な毛の発育、性器の発育などが行われる。

つまり「APTX4869」が脳下垂体視床下部を含む

神経細胞にまったく影響を与えなかった場合、

コナンや灰原は子供の身でありながら性的成長を遂げていることとなる。

すなわち、コナンや灰原は小学生なのに

一部分だけオトナな成長をしているのだ!

身体は子供、頭脳は大人、アソコもオトナ、その名は名探偵コナン!!!

この事により正体がバレないようにする為にはひたすら隠すしかない。

性器などは服で隠せるが、アゴヒゲは毎朝念入りに剃らねばならない。

灰原は胸にさらしでも巻いて隠すほかないだろう。

あ!そう言えばコナンは一度蘭と一緒に混浴露天風呂に入ったことがある!

コナンは「正体バレたら殺されるな…。絶対…」と恐怖していたが…

もはや手遅れ!

江戸川コナンのご冥福をお祈りします。

 

更にもう一つ弊害が出てくる。

非再生細胞には心臓の筋肉、すなわち心筋も含まれるのだ。

「APTX4869」が神経細胞に何の影響も与えなかった場合、

心筋にも影響がない可能性が高い。

こうなるとコナンは小学生なのに「高校生並の心臓」を持つ事になる。

明らかに異常である。心不全などで死亡するのは目に見えている。

例え生きながらえたとしても犯人を捜して走り回ったり、

ボールなどを蹴って犯人を捕まえるなど激しい運動はもってのほか。

絶対安静にしないとポックリと逝きかねない。

やっぱり、ご冥福をお祈りします。

 

ちょっと余談〜玄人さんからの研究依頼〜

折角なので、以前玄人さんから寄せられた研究依頼を解明しておこう。

Q.新一からコナンになったのはいいとして、

声まで変わったのはどうしてですか?気になって夜も眠れません。

A.考えられる理由は2つ。

まず、第一に考えられるのは声変わりによる変化。

新一は高校2年生なので声変わりをしていた可能性は十分にある。

それが小学生の頃に戻ったので声が変わった(昔に戻った)、というのが一つ。

もう一つが声帯に関する事。

人間は声帯と呼ばれるところで音を出し、声を作っている。

この声帯は長ければ長いほど声が低くなるのである。

逆に言えば短ければ声は高くなるのだ。

以上の2点よりコナンの声は高くなったと思われる。

ちなみに同じ声の人は2人いないと言われており、

指紋と同じように声紋として犯罪捜査に利用されることがある。

つまりコナンの声は新一の幼い頃の声とまったく同じハズなのである。

もし声紋鑑定を行えば正体は簡単にバレるだろう。

 

 

 

 

☆導かれる「APTX方程式」☆

 

さてさて幼児化の過程自体には問題があり過ぎるものの、可能らしいことが判明した。

ただしあくまで原理的に、だけれども。

そしてお次はその他の問題点についてだ。

まず、誰もが気になるであろう「質量保存の法則」についてだが、

これはコナンの幼児化がアポトーシスによって行われるため、

大丈夫だと思われる。

(新一の体重)=(コナンの体重)+(アポトーシスで消費されるエネルギー)

+(細胞分裂によって消費されるエネルギー)

+(細胞分裂を行うのに必要な物質の総重量)

という方程式が成り立てば万事解決である。

仮にこの方程式を薬の名前から取って「APTX方程式」と名付けよう。

確認の為に新一からコナンになるときの場面を見てみると…。

身体から湯気が!

何だ、この湯気は!?

しかも『シュウゥゥゥゥ』と勢いよく!

普通にアポトーシスだけ変化すればこのような湯気は出ないハズだが…。

考えられるのは「汗」だが、それにしても多量である。

ちょっと考えてみよう。

新一の体重を60sと仮定すると、彼の体内における水分量はおよそ36s。

コナンの体重は劇中で自ら述べている通り、18kgで水分量は10.8s。

「あれ?水分量、少なくないか?」と思われた賢明な方はこちらをご覧下さい。

この水分量の差・25.2sはコナンの体に入りきれないハズだ。

多分この過剰水分量・25.2sが蒸発したのが、あの湯気だと思われる。

更にこの水分量を蒸発させるだけの熱量を加えれば、

先程示した「APTX方程式」が完成する。

 

さて次は変化にかけた時間である。

10年程の幼児化を行うにはやはり成長したのと同じ時間、

すなわち10年かけて幼児化した方が良い。

ただその場合は元に戻るのも10年かかるので…

新一がコナンになってすぐに元に戻ったとしても、最低20年。

その間に愛しの蘭は37歳…ということになり兼ねない!

さすがにそんな悲恋が展開されるハズはないが。

実際のところはどれくらいの時間だったのだろう、と思って

単行本1巻では見当がつきにくいので単行本10巻を詳しく見てみると…。

どんなに長く見積もっても10分くらい!

こ、これは早い!

実に5256000倍の早さである!

このような猛スピードのアポトーシスと細胞の生成という異常な状態に

コナンはよく耐えられたものだ。

しかもコナンは風邪気味だった上に

白乾児(パイカル)という中国のキツイお酒を飲んでいた。

白乾児(パイカル)を飲んだお陰で元の姿に戻ったのだが、

小学生の肉体でお酒を飲むなど大丈夫だったのだろうか?

しかも元に戻ったからと言ってその日の夜に

自身の頭程もある大きな瓶をラッパ飲み!!!

その後二日酔いになっていたが、急性アルコール中毒は間違いなし!

またご冥福をお祈りします。

 

 

 

☆元に戻れない!☆

 

コナンは2度ほど新一の姿に戻っているのだが、

この場合も先程の「APTX方程式」が成立すれば万事解決(?)するはずだ。

というわけで、元に戻ったときの様子を細かく見てみると…

…成立していない!

問題点は二つ、「コナンの発熱」と「水分の不足」である!

新一からコナンへと変化する場合は新一という栄養とエネルギーと水分の塊があったので

変化時の発熱は問題ない。というか恐らくかなりの余剰エネルギーがあるだろうから

発熱しているのは自然だともいえるし、汗をかいて「シュウゥゥゥゥ」と蒸発したのは

科学的といえる。

しかしコナンから新一へと変化する場合はエネルギーも栄養も水分も

絶対的に不足しているのである。

よって発熱に使うエネルギーがないし、水分がないので元に戻れば即・脱水症状である。

更に化学変化方程式の面からみても発熱及び湯気を発するのはおかしい。

化学方程式の面からみれば「吸熱反応」、

つまりコナンは冷たくなって周囲から熱エネルギーを吸収していれば

問題はなかったのだが。

しかし漫画の様子ではかなりの高熱をだしているし、

猛烈に水を飲んでいる様子もない。

このままではエネルギーと水分が不足したままなのだが、ちゃんと戻っている。

つまり水を飲んだり吸熱したりする以外に漫画から判断出来ない何らかの方法で

エネルギーと栄養と水分を摂取しているに違いない。

考えられる方法は幾つかあるが、どれもこれもまったく現実的ではない。

私が思いついた範囲で唯一有効そうなのは、酸素と水素の化学反応である。

酸素と水素の混合気体に火をつければ爆発して水が生じる。

おお!エネルギーは得られるし水も得られる!我ながら天晴れなアイディアだ!

しかし、問題は量である。

必要な水は25.2s、これを酸素と水素の化学反応だけで精製しなければならない。

水を標準状態での重さとして計算してみると

水素:2.8s、酸素:22.4sが必要であり、

約3.99×10J(ジュール)の熱量が発生することが分かった。

よって水素:2.8s、酸素:22.4sを空気中より取り出せれば問題は解決である。

ただしここが一番の問題だ。酸素はいいとして水素は空気中にあまり含まれていない。

そこで空気の組成について調べてみたところ、0.001(重量%)と判明した。

これから十分な量の水素を集める為に

必要な空気の量を計算してみると、なんと2.17×10ℓ!

これは一辺が601mの正方形の体積とほぼ同等の値だ。

この量を短い変化時間の間にかき集めるのか…。

コナンから新一への変化はかなり短い。予兆を除けば1分もないだろう。

そんな短時間で2.17×10リットルもの空気を集めれば

コナンの周りは猛烈な風が渦巻くことになる。

…勿論、漫画の中にそのような描写はない。

つまり……

もはや私には策がないのだ!

コナンが新一に戻ったのはもはや人知の(というより「私の」)及ばぬ力が

働いたとしか説明がつかない!うぬぬ完全なる敗北か…

 

 

結論。「この世に解けない謎はない」と言い切る

江戸川コナンこと工藤新一には悪いが、

「この世に解けない謎は君自身だ」と私は言いたい。

いやはやさすがにコナンだけに幼児化は困難な道のりである。

「APTX4869」を作った灰原の頭脳と

幼児化という異常な変化を成し遂げた偉大なる人体に脱帽。

いや脱毛ものである。

 

 

 

「真実はいつも一つ!(のハズなのに)」(戻る)